……ていうかそんなに嬉しそうにされても、困る。



ただ借りを返すだけだし。デートっていうか遊園地に行くだけでしょ? 夏休みはその日以外会わない宣言したし。


それくらい簡単だ。向こうから言いだしてくれるなんて好都合。


長い休みのたった一日我慢するだけで、ここ数日の借りを一気に返せると思えばそんなに悪い条件じゃない。



それでも満面に笑みを浮かべる早川にちょっと戸惑いつつ、川端さんの鞄をその胸板に押し付けた。




「……その代わり、これ川端さんに返しておいて。適当に言い訳して、絶対私の名前出さないで」


「なー藤島、あとからやっぱなしとか言うの、なしだからな!?」


「分かったからさっさと行ってよ」


「そうだ、気が変わんねーうちに念書書け念書!」




私ってどんだけ信用ないのよ。


まあ念書くらいなら書いてやっても良いけど。それで早川にも書かせる。夏休み中は絶対私に近付かないっていう。我ながらナイスアイディア。