「藤島お待たせ」


「……翔くんごめん。こっちにも余計なのついてきてるんだ」


「藤島余計なのって俺のこと!?」




お前以外にいねえだろ。


翔くんと早川は初対面のはずだけど、気まずくないかな。まあ私はどっちでもいいんだけど。



ショックを受けたように私を見る早川を睨みつけながら、翔くんが用意してくれたチケットを鞄から取り出した。




「……え、あれ、藤島もうチケット持ってた?」


「うん。翔くんが用意してくれてたから」


「まじで! 2枚買ってきちゃったんだけど」


「早川だけ2回観ればいいんじゃない?」




恋愛映画2周って。しかも2回ともぼっちって。おもしろすぎるんだけど。




「……川端は? もうチケット持ってる?」


「持ってないよお」


「ほんと、よかった。じゃあこれもらって」




だけどホッとした表情の早川が川端さんにチケットを渡すから、小さく舌打ちを鳴らしてやった。


ら、藤島ヤキモチ? なんて有り得ない勘違いをした早川が目を輝かすから、スクリーンにその体がのめり込めばいいのにって思う。