偏食系男子のススメ【完】





なるべく早く、借りは清算した方が良いに決まってる。


あとから色々言われるのなんて御免だ。




「あれ、どうした藤島?」




急に立ち止まった私に、早川はわざわざ戻って来て正面に立った。


この前は上手く言えなかったけれど、今なら余計な邪魔は多分入らない。




「早川」


「うん?」


「……色々ありがと」


「………………え?」




伝えれば、暫くの間が空いた後に間抜けな声を漏らした早川が、目を見張って私を見つめる。


……そんな意外そうな顔されるとムカつくんですけど。


私だって感謝くらいするっつーの。




「あれ、何今の幻聴? 天使の囁き?」


「なっ……! あんた人の気持ちをなんだと思ってんだ……!」


「え、……それつまり藤島の声!?」




言わなきゃよかった、と早速後悔してももう遅い。


ぐわーっと押し寄せる後悔と羞恥の波を無視して、怒鳴り散らしたくなるのをぐっと堪えた。


今だけは私が下の立場。そう今だけは。耐えるのよ亜希ちゃん。