うっわー。男一人で恋愛映画ってキツくないのかな。可哀そう。めちゃくちゃ笑えるけど。


私があんなん男子と見るわけないだろうが。恋愛物って見てて恥ずかしくなるし痒くてしょうがない。




「藤島」




カップルや女性客ばかりに囲まれながら、スクリーンに釘付けになっているぼっちの早川を想像して必死に笑いを堪えていれば、不意に後ろから名前を呼ばれた。




「……ああ、翔くんおはよう」


「おはよう! あーちん!」


「ごめん変なのついてきた」


「いいよ。予想してたから」


「ちょっと翔ちゃんきらりは変なのじゃないよお!」




翔くんにべったりくっつきながら、相変わらず元気いっぱいの川端さんを見てももう驚かない。


スキニージーンズにTシャツっていう色気もクソもない格好の私に対して、彼女の着ている白いワンピースは年相応の女の子らしい。


よく似合っていて清楚な感じで、認めたくはないけれど正直見た目だけはかなり可愛い。でも川端さんの中身と外見のギャップはグッとこないタイプのそれだと思う。



にしても、彼女が早川に情報を漏らしたことは明白な事実で間違いなさそうだ。まったく余計なことをしてくれた。



小さく溜め息を吐けば、タイミング良くか悪くか早川が戻ってきて、謎の4人が揃ってしまう。