「……まあ、そりゃそうだよ、翔くんなんか私とはまるで釣り合わないから顔洗って出直しておいで、それでもきっと付き合わないけどな!」


「藤島」




不意に名前を呼ばれて、とんっと翔くんのゆるく握られた拳におでこを押された。



瞬時に、中学のときに私の性格を知らなかった他校の男子に一目惚れされたことを思い出す。


いきなり告白されてフッたら、逆ギレされて頬を叩かれたのだ。ムカついて数倍にして叩き返してやったら相手は謝りもせずに逃げたけど。



翔くんのそれは別に痛くはなかったけれど、ビビって一歩下がってしまった。


……やだな、翔くんはあんな奴じゃないって知ってるのに。




「いい、別に嫌な奴ぶらなくても」


「……は?」


「俺が藤島のことさっさと吹っ切れるように幻滅させようとしてわざと酷いこと言ってんだろ」


「……そんなわけ、」


「そういうとこ知って好きになったんだから無理すんな」




……そうだ全然違う。


私のことよく知らずに、顔だけ見て告ってきたバカ共とは全然違う。


――だから私も傷つく。