「……ファイトよ亜希、いつも通り川端さんに暴言吐くついでに謝ればいいだけのこと。……いや、それじゃだめか。……謝るついでに暴言を吐く方が……」


「……キメエ」


「……」




心の声がいつの間にか実際に声に出ていたようで、私と入れ違いで教室に入ってきたボス猿にすごい顔で見られた。


お前だけには言われたくねーよ。



……ていうか私は本当に何をやっているんだ。変なとこまで見られた。一生の不覚だ、猿にキモイ呼ばわりされるなんて。



――もういい、なるようになれ。



背筋を伸ばして、早足で廊下を進む。


周りの雑音も上手く耳に入らず、前だけ見て歩いた。



だけどそうして辿りついた川端さんのクラスの前にはすごい人だかりができていて、中を覗くのも困難な状況。



……昨日は来れなかったけれど、大盛況なんじゃないか。


お昼時でもないのにこの様子じゃ、それなりに儲けも出てるんじゃないの?


くっそジャンケンに負けた過去の自分死ね……! って今更そんなのどうでもいい。



長い列を無視して入口に近付こうとするけれど、人の壁が厚くて入っていけない。



……ああもう邪魔!