「……あーっ! 悪い広瀬、忘れてた」


「い、泉はいいの! だって委員の仕事で朝から忙しそうだったの知ってるもん!」


「……私は?」


「藤島はただのサボりでしょ。ほら早く来なさいよ」




……同じ実行委員なのにこの態度の差。


偉そうに、「礼は言っとくでござる。どーもでどすこい」的なこと言ってた1週間前の鬼猿はどこへ行ったんだろう。



さりげなく早川の腕を掴んで歩き出した彼女の後ろを、しょうがなく付いて行きながら思い出して鼻で笑った。



……結局早川にはお礼も言えなかったけれど、まあいいだろう。気持ちだけは十分ってことで。



ボス猿に引っ張られながらも私の方を心配そうに見てくるそいつは無視しながら、3人で体育館に向かった。