偏食系男子のススメ【完】





「いいから話してみ」




――そう思うのに、どうして早川は私なんかに構うの。


優しげな声にうっかり顔を上げそうになったけれど、なんとか堪えた。




「……川端さん、私の態度に嫌な思いをしていたらしい」


「……うん」




考える間もなく言葉が口を衝いていて、自分でも驚く。


だけど言葉は止まらなくて、頭は真っ白なのに妙に落ちついていた。




「……川端さんは」


「ん」


「とても良い人なんだと思う」




ぽろりと言葉が零れて、ひとり言のように呟く。




「ウザいくらいに付きまとってくるけど、人の悪口言うのなんか聞いたことないし」


「うん」


「キモイくらいに空気読めないけど、純粋でまっすぐな、優しい人」




私とは違って。他人に親切に出来る人。思いやれる人。


たまにわざとかってほどめちゃくちゃに人をイラつかせるけれど。間違った、頻繁に。