偏食系男子のススメ【完】





もともと気が短い方ではあったし、口が悪いのも自覚していたけれど、みんなで手を繋いで横並びの女子社会って暗黙のルールの中じゃ、ズバズバ物を言う私は当たり前に浮いていて。


人から好まれるような性格じゃないことは気付いていたけれど、そのままの自分を貫きたくて一人でいた。



同級生からしても、大人からしても、それはそれは可愛くない子供だったと思う。



――そんなとき、お母さんがある日突然家を出たのだ。


その瞬間私は家にいて、ただならぬ母親の勢いに圧倒されつつも、自分なりに必死に引きとめた。



けど。




『あんたなんか産まなければよかった』




とかなんとかその辺の酷い言葉が返ってきただけで、なんの躊躇いもなく扉は閉められた。



後から知ったのだけれど、父親は若い女と浮気していて家庭内はクソみたいに荒れていたらしく。


もしかするとお母さんの最後の言葉は、それに対するただの八つ当たりだったのかもしれないんだけれど、あのときの私は人並みに傷ついた気になって、

お母さんに捨てられたという事実だけを理解し、この世の終わりだとか馬鹿みたいに思ってた。


まだ可愛かった若かりし頃の私の話。