――昨日のあれで、全て解決したんじゃなかったのだろうか。
考えても分かんない。
だって川端さんは今日、楽しそうに笑ってたから。いつも通りに見えたから。
私もいつも通りに彼女を突き放したし、鬱陶しく思ってた。
本当は川端さんは、私に不満があったんだ。
どんなに冷たくしてもずっと飽きもせずに付いてくるから、勘違いしていたのかもしれない。
平気そうに見えたって、笑顔でいたって、拒絶されて嬉しい人間なんかいない。
……だから私は、自分が拒絶する側にいたいと思っていたのに。
痛みを知ったから、自分が関係を絶つ立場でいたいと。
――私は川端さんを傷つけていたのか。
そうしている自覚はあったはずなのに、改めて口に出されると言いようのない罪悪感が胸を支配した。らしくないとは分かっている。
ぼーっとしばらくその場に立ち尽くしていたけれど、ふと我に返って、後ろの椅子にすとんと腰を下ろした。
机に頬杖をついていれば、なんとなく心臓が痛い気がしてくる。
――小学生の時だった。
私が初めて人から拒絶されたのは。

