「そう、わからなくていいんだ。感情だから。
それをルールで抑制するのは、まあ、日本は一夫一婦制だから
ひとりしか妻にできない、っていうところから、
日本人は無意識に規制してきたからなんだ。
イスラームに行けば妻がふたり、なんてのは当たり前だしな。」
「ふーん...。」ただ、深町は頷くしかない。
「でもまあ、イスラームの女たちはそれに納得してるわけじゃない。
制度と思って我慢してるだけだ。あの国は男社会だから。
やっぱり、1:1ってのは人類としては順当なんだよ。」
「そうなんだ。」妙に説得力があるな、と深町は思う。
だから、僕はひとりだけを真剣に愛したいと思ったんだ、と。
「だから。」叔父は、すこし真面目な顔をして言う。
「シュウがさ、その、諒子ちゃんを救おうとして
心ならずして抱きしめた時に、なんか、愛しさが消えちゃったって
その理由は、割と簡単だよ。
シュウのイメージ中にある理想の恋人だったら
無闇に抱きしめられたら撥ね逃けるだろう、と。
でも、シュウに抱きすくめられたままだったから、
なんか、慣れてるんじゃないかな?と疑念を持った。」
「そうか。」シュウは、自分の中で納得できていない気持ちを
叔父に解析されて、初めて納得したような気持ちになった。
「そう疑うと、誘われ慣れてるような感じに見えて、
ああ、こういう人だと他にもボーイ・フレンドが一杯いるんだろう、
恋人もいるかもしれない、って嫌になった。.....更に。」
叔父は、深町の顔を見た。
「ムスクの香水が、朋恵ちゃんと同じだったから、あの頃、彼女は割と
男にモテてて、それに嫌になって投げ出した記憶を思い出した。」
内心、分かってはいても、的確に分析されると
改めて納得する。
「どうしてそんな事が分かるの?」と深町は言う。
....と、僕は実体験を書いた。



