その1時間後、深町は叔父の家に到達。
その家は、丘の上、坂道に建っている。
広い裏通りに面しているが、車の通りはほとんどない。
深町が、フィアット500のエンジンを止めると
対面の家のフェンスから、人なつこい犬が、鼻を出していた。
深町に笑みがこぼれる。もともと、犬は大好きだった。
エンジンを止め、軽いドアを開いて降りる。
犬は、鼻を出して尾を振っていた。
深町は楽しくなって、犬の鼻先を撫でてやる。
犬は、嬉しそうに深町の手を舐めたので
深町も、犬の首筋を撫でてやり、戯ゃれた。
...すこし気分が軽くなった。
犬に、ありがと、と心の中でつぶやくと
犬は返事をするかのように、吠えた。
深町は、その家のガレージにフィアット500を収めた。
ガレージの中には、アルミニウム・ボンネット鈍く光る
スーパー・7の姿もあった。
深町はため息を付いた。
...あのままだったらよかったのにな。
思い込みで、自ら暴走して壊してしまった恋心。
それも、夏名に愛を誓いながら遊び心を出した自分への
罰だ、と思った。
玄関のドアは開いており、深町は、叔父の家に入る。
一応、ドア・サインを鳴らしてから。
「叔父さん、いるの?」
深町は、ジーンズの裾を気にしながら、家に入る。
1970年代のレトロ・モダンのように見えるが
リアル・レトロである。
>おしゃれね、
とだけ...言われた。



