50年目のプレゼント

 おじいちゃんは足を持ち上げて
 自転車にまたがった。


 「しっかり捕まって。」

 「あ、ああ。」

 
 ペダルに足をかけたときだった。


 一匹の蛍が

 私達の前で美しく瞬き

 天高く舞い上がっていった。






 そして、

 ケータイの着信が鳴った。


 悪い予感がよぎった。

 ドキドキして、震える手で

 ケータイを取った。


 父からだった。


 「おねえちゃん?おばあちゃん、

 だめだったから・・早く帰っておいで。」


 頭が混乱した。

 こぼれそうになる涙を我慢して



 「おばあちゃん、だめだった・・。」