50年目のプレゼント

 中に入ると肺のレントゲン

 が何枚か貼られていた。

 先生が深刻な顔で言った。


 「今は落ち着いていますが、

 大変危険な状態です。

 最近、調子が悪くなかったですか?」

 「いえ、とくに・・」

 父も私もすぐには思いあたらなかった。


 「肺炎を起こしています。

 肺が機能していないために、

 吸っても吸っても吸えない状態

 になっています。だから、本人さんは

 今、とても苦しいと思います。」

 
 青白く写し出された肺は

 さっきまで見ていた空のように

 黒い影に覆われていた。


 「もしもの場合、

 延命措置を希望されますか?」