とある魔法学校の事情

このクラスは思ったよりも人数が少なかった。

それもそのはず、ここは落ちこぼれの生徒を救済するための少人数クラスなのだ。


正直、落ちこぼれになるつもりは無かったので少し不覚である。

でもある意味都合がいいのかもしれない。

《出来なくて当たり前》なら《力を抑えてて上手く使えない》のも隠せるだろうから。


でもまあいくらしょうがないとはいえ、落ちこぼれは少しへこむなぁ…

しかし、あれから身を隠せるのだからそれくらいはやむを得ない。

まさか私が落ちこぼれなんて…ね。そんなことあいつらは思いもしないだろうから。


そして教壇の前に先生が立った。

「私が今日からこのクラスを担当する、佐野村 沙良です。よろしくね。」

そして一礼。その拍子に先生は持っていたプリントを落としてしまった。

そして必死にアワアワとプリントを拾い、「あーあ…また並べ直さないと…」と呟いている。


第一印象は、《ちょっと抜けてる?》だった。《また》ならきっと少し前にもプリントを落としたのだろう。

でも、気は抜いちゃいけない。
魔法学校の教師になるには自身が優秀な魔法使いでなければならないからだ。

間抜けっぽくても、きっとこの先生は強い。気は抜けないのだ。

しかも、この落ちこぼれクラスを担当するのはいつもとても優秀な者らしい。
まあ、どれ程強いのかは知らないが…。