鳴夜side

今日、旗坂学園に転校生が来る。

この特Aクラスに編入するらしい。

3年生の時期に転校生なんて珍しいな。

………

………


「I’m RARA. I bet many things annoying. Thank you.(私はララです。色々と迷惑をかけますが、よろしくお願いします。)」

その女の子は外国からの転校生だった。

黒髪おさげに瓶底メガネ。

黒髪だから、ハーフかな?

僕と違ってかなり身長が高い。

軽く見積もっても、2mは確実にあるだろう。

139㎝の僕からしたら、とても羨ましい身長。

…なーんてことを考えてた。

すると、担任が僕の隣の空いている席を見た。

「じゃあ、ララ。あの奥にいるチ…いや、比良の隣の席に座ってくれ。」

「え?」

おい…お前、チビって言おうとしたよな。

「チ…比良!今日一日中、彼女のこと頼むぞ。」

親指を立てて、いい笑顔で言った。

ちょっと待てぃ!ワザとだよな!!絶対!

担任は返事もろくに聞かず、転校生を僕の隣に強引に決めた。

転校生は席に座ると、声を掛けてきた。

それとなく英語は理解でき、簡単な話ぐらいは出来る。

「Sorry. Thank you all day today. Well...HERA?(すみません。今日一日中、お願いします。えっと…ヘラさん?) 」

「NO.I’m HIRA. (いいえ。僕はヒラです。)」

さりげなく訂正すると、彼女は首を傾げた。

それが何を意味するのかは、僕には分からなかった。

一限が始まるチャイムが鳴り、すぐに、その違和感はかき消された。

この時、僕は気付かなかった。

彼女がメガネの奥で笑っていたことを。