救急車のサイレンが遠くなっていく。






それに伴って、事故現場から野次馬も去っていった。








由紀は力を失って、路上にへたりこんでいた所を警察官に連れられて、家へと帰った。









母親は警察官から事情を聞くと、由紀を部屋にあげた。








「大丈夫?由紀…」








「………うん。」








由紀の部屋に入ってきた母の問いに、彼女はベッドに座ったまま力無く答えた。








「何か飲む?」





「いい…」





「そう……」







母親は不安に思いながらも、由紀の部屋を後にした。









母親が去り、1人になった由紀はベッドの上で壁にもたれた。









「舞…香苗…うぅう…」








由紀の目から自然と涙が溢れる。







「何で、何で私達がこんな目に…」










しかし、そうやって悲しむ間を由紀は長く得ることは出来なかった。















由紀の携帯が鳴った。