聞き返したことに気づいていないのかと思い私は声をさっきより大きくして彼に問いかけた。

「なんて言ったの?」

私がそう問いかけると、彼は窓の外の雨を少し茫然と見てから私のほうを向き答えた。
ただ単に

「なにも。」
と、にこやかに笑いながら。


彼は笑いながらそう言ったが私はどうしても胸がざわつくのを抑えることができなかった。
けれど、彼を見ると後ろめたさがなにもないようにさわやかに微笑んでいて……
…………

……………なぜか私は彼から視線を逸らした。