××のために






「…香月 美咲だな?探したんだぞ!」

「…おじさん、誰だよ?」



美咲に触ろうとしたヤクザの間に竜聖が入る。
美咲は怯えていた。



「んだ、てめぇ。ガキは引っ込んでろ!」

「…わっ!」



竜聖は軽くヤクザにどかされてしまった。
しかし、蓮人が美咲の前に立った。


「…ったく、めんどくせぇなぁ」

「…うわぁ!」



蓮人もまた軽く避けられてしまった。
美咲に迫るヤクザ。



「…お前の親父が裏でヤクザと手を結んでたってこと知ってるか?」

「…えっ?」

「…やっぱり知らねぇか。てめぇも気の毒だな。親父のせいでこんなことになっちまったんだからよ」



美咲には、この男が何を言ってるのか分からなかった。
お父さんは優しくて、いつも笑顔だった。
ヤクザとつるんでいたなんて、とても信じられなかった。