××のために






そして翌日、蓮人は公園に向かった。
昨日の子供たちがいた。



「あ、昨日のヤツだ!」

「捨てられて可哀想〜!はははっ!」



蓮人は涙が出そうになった。
ふと、昨日の美咲を思い出す。
…自分は一人じゃない。



「サッカー、一緒にやりたいな!」

「ヤダよ!どーせサッカーなんか出来ないんだろ?」

「ひまわり園のヤツだろ?ちゃんと風呂入ってないんだろ?くっせー!」



子供たちは鼻をつまんで手を左右に振った。
蓮人は怒りが込み上げた。



「ひまわり園のことを悪く言うヤツは許さないからな!それに、風呂なら毎日入ってるよ!何も知らないくせに勝手なこと言うな!」



「うわ、怖ぇー!」

「逃げろ!逃げろー!」



子供たちは騒ぎながら去って行った。
蓮人はまた孤独になってしまった。
けれど、今日はいつもと違う。
アイツらに言い返せて清々しい気持ちだった。

これも、美咲のお陰だった。
美咲がいなかったら、ずっと弱虫のままだった。