××のために






そして、蓮人がケンカに負けて帰って来た時も……




ここ、ひまわり園は海の近くにある。
そして、夏になるとたくさんのひまわりが咲く。

蓮人は海辺で一人泣いていた。
近くの公園でサッカーをしていた子供たちと遊んでいたが、省かれてしまった。
その理由は蓮人だけ両親がいないからだ。

蓮人の両親は幼い頃に離婚し、母親が蓮人を引き取った。
しかし、その後母親は彼を捨てたのだ。

両親がいなくて、弱虫な蓮人はいつも仲間外れにされていた。


悲しいときや、落ち込んだときはいつもこの浜辺で泣いていた。



「…蓮ちゃん?」

「…美咲」



横から声が聞こえ、振り向くとそこには美咲がいた。
蓮人は急いで袖で涙を拭った。
すると、美咲は蓮人の隣に座った。



「…また殴られたの?」

「…うん」

「…親のこと言われたの?」

「…うん」



美咲は蓮人の手を握った。



「蓮ちゃん、負けるな!あたしはいつだって蓮ちゃんの味方だよ?」

「美咲…」



美咲は真っ直ぐに蓮人を見た。
蓮人は美咲の言葉に救われた。

このままずっと負けてもいいのか。
やられっぱなしでいいのか。
次は絶対に負けないと決心した。