××のために






美咲と竜聖は駄菓子屋へ向かった。
そこにはおばあちゃんがいた。



「あの、すみません!」



美咲が尋ねると、おばあちゃんは優しそうに微笑みながら歩いてきた。



「可愛いお嬢ちゃんだね。どうしたのかい?」

「…竜ちゃん」

「…あの…」



竜聖は勇気が出なかった。
警察を呼ばれたらどうしよう。
怒鳴られたらどうしよう。



その時だった。
美咲は竜ちゃんの手をまた握った。
そして、耳元で囁いた。



「…大丈夫。私がついてるから」

「…美咲…」



竜聖は美咲の言葉に決心がついた。
背中で隠していたスナック菓子をおばあちゃんの前に出した。



「…すみませんでした。これ、盗みました」

「すみませんでした!」

「…おやおや」



竜聖と美咲は頭を下げた。
おばあちゃんはスナック菓子を受け取ると2人の頭を優しく撫でた。



「よく言ってくれたね。偉い、偉い。でも、もうこんなことしたらダメだからね?」

「はい。本当にすみませんでした…」



おばあちゃんは許してくれた。
竜聖と美咲は安心した。

美咲がいなかったら、自分は間違った道に進んでいたかもしれない。
そう思うと、美咲に感謝しきれなかった。



だから、竜聖は誓ったのだ。
美咲を守ると……