××のために






「…あんた、すっげぇ綺麗だな」

「…いえ」

「仲間にも口説かれただろ?」

「えっ…!?」

「ははっ!図星だな。無理もねぇよ。こんな女がいたら、誰だって食らいつくだろ」



美咲は何人かに口説かれたことがあった。
美咲のボディーガードの若い男にも…
それが何よりも苦痛だった。



「…あんたは俺のことどう思ってんの?」



界は美咲に近づいた。
美咲は界に警戒していた。



「私は…何も…」

「ふーん。残念だなー。俺はお前が見合い相手ですげぇ嬉しいけどな」

「…!?」



界は美咲の髪に触れた。
長くてしなやかな髪。
そして、キスを落とした。



「な、何するの…!」

「…お前だって瀧沢には逆らえないんだろ?だったらお互い仲良くしようぜ」



界は美咲の頬に触れた。
そして、顔を近づけて来た。
…美咲はどうしたらいいか分からなかった。
この人と上手くいかなければ瀧沢に捨てられ、生活出来なくなる。
…でも、こんなことしたくなかった。
竜聖と蓮人の顔が浮かんだ。



心の中で何度も助けを呼んだ。
美咲は涙を流した。
界とキスをしていた。