××のために






美咲は着物を着て、お見合い会場へ行った。
とても美しかった。



「失礼します…」



襖を開けると、そこには山城組の組長と息子が座っていた。
美咲は瀧沢の隣に座った。



「ほぉ。美しい娘だな」

「香月 美咲さん、だね?」

「はい」

「俺の仲間の娘だ」

「香月のことは知ってるよ。…まぁ、俺たちが決めることじゃねぇからな。後は若い奴らに任せるとするか」

「そうだな」

「えっ?」



そう言って、山城と瀧沢は部屋から出て行ってしまった。
息子と二人きりになってしまった美咲。



「俺は山城 界だ。親父さんのことは…残念だったな…」

「…はい」


界は見た目はヤクザというよりもチャラい男だった。
金髪で耳には多数のピアス。
…怖かった。