笹本 大雅。
どうやら、彼は私と同じクラスらしい。
見るからにチャラそう…。髪の毛、茶色に染めてるのかな…。
アサちゃんは彼のことを詳しくは教えてくれなかった。ただ一言、
「俗に言う問題児ね」
その顔には疲労さえ見えて、関わらない方が身のためよ。とでも言うように私をなだめた。
「お前なぁ、いくら頭が良くても、出席日数っていうもんがあるんだよ。それを取りきれないと、単位もやれん。進級もできない。卒業は愚か、進学、就職をだなぁ……」
生徒指導室を退室する際に聞こえた半ば呆れたように話す猪川先生。
なるほど、学校に来てないから知らなかったのか。
さりげなく笹本大雅の顔を覗く。
あ…。
悲しそう…。
決して怒られてるからではない。
哀を感じる瞳。
もっと深い何かを持っている目をしていた。
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