笹本くんがポツポツと話始めた。
「怖いんだ。」
「え、」
「人が、怖いんだ。人は簡単に死なないってみんな言うだろ?そんな訳ねぇっつうの。」
笹本くんは唇を噛む。
「あっけねぇよ。なのに、仲間を大事に出来なかったり、悪口言ったり、目に見えない傷をえぐってく。」
また、あの目だ。
「沙智な…」
その言葉に息が詰まった。
「イジメられてた。」
あの明るい声を思い出す。電話越しで聞こえる、さっちゃんの声。
「そんな…」
「日向のせいじゃねぇよ。心配かけたくなかったんだ。そして、俺にも」
心無い人の言葉が彼女を苦しめた。
「救ってやれなかった。その矢先に病気。」
さっちゃん、隠すの上手すぎだよ…。どうして気付いて上げられなかったんだろ。
「だから、俺は人間が怖くて嫌いだ。」
そう言った笹本くんの目は、真っ直ぐで強かった。
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