「ありがとう」



「え?」




笹本くんが笑った。さっちゃんのことになると、よく笑う。


きっと、私の知らない笹本くんをさっちゃんは知ってる。




「沙智忘れることなんてできねーよ。」

「そーだよ。」

「また、来てもいい?」

「うん。」



多分、好きだったんだろうな。

さっちゃん。


『そいつがさ、小さい頃からとんだ悪ガキで!!…でも、惚れたら負けだよね…』



イヒヒと笑うさっちゃん。

わかるよ、さっちゃん。




「てか、お前」

「はい?」

「母さん…」

「あー、去年にね」


笹本くんは居間に飾られた写真と飾られた花を見た。

優しい眼差しで。


「俺さ…」