箱を開ける。


まるで、タイムカプセルの様に時間があの時に戻った。



「懐かしい…。」



うさぎのキーホルダー。

これは燃やせないなぁ…とさっちゃんが苦笑いをしながら箱に入れてたのを覚えてる。



「…このうさぎ。俺があげたやつ。」

「そーなんだ。さっちゃん大事にしてた。」


笹本くんを見ると、静かに涙を流していた。つられて、私も涙が出てきた。


「あー、こんなんじゃ手紙読めないよ。」


いくつかある手紙を手にとって開けた。


「俺も読む」


笹本くんはそう言うと、私の横に来た。



『かけがえのない人へ

今は何年何月何日ですか?
世界は平和ですか?

私がいなくても、この世は成り立っている。私の存在に最後まで気付かずに去っていく人もいる。
また、その人の存在を知らずに去っていく私もいる。

その中で、私と出会えた人と、出会えた私は

すごく、すごく、幸せものです。

いつも、表情を変える 空 が大好きだった。
そんな空をもう見上げなくてもいい。

今度は空から見下ろす。

もし、あなた達が空を見上げた時

私と目が合ったと思って。
笑って
手を振って

そしたら私も
いろんな表情で応える。

私を忘れても、
一人じゃないことを忘れないで。



また、来世で




成瀬沙智』