笹本くんが、我が家に来た…





と言っても、遺品を見に来ただけ。



昨日、さっちゃんが家族には恥ずかしくて渡せなかったものを私に取っておいて欲しいと言っていたモノがあると伝えた。


その時、笹本くんがちょっと拗ねていた。

思わず顔がほころんだ。

なかが良かったんだなぁって。私の知らないさっちゃんを知ってるんだろーなって。


それには、それで、私もちょっとぐらい嫉妬してもいいよね?


さっちゃんと笹本くん小学校違って、中学校1年生までは一緒だったんだなぁ。


笹本くんの知らないさっちゃんを私が知ってる。
私の知らないさっちゃんを笹本くんが知ってる。



「パズルみたいだね」

「あ?」

「お互いの知らないさっちゃんを、見つけて、その空白の時間を埋めてくの?おもしろいと思わない?」


「…全然。」



そ、そうですか…。
そう言いながらも、笹本くんは微笑んでいる。


「と言っても、学校違うだけで、遊んだりはしてた。家近かったし。」




でた、負けず嫌い。




そんな話をしながらも、さっちゃんの遺したものを出した。


「ほこりかぶってる。」

「お前…。日向…これ見たの?」

「見れないよ。」





これを開けるには、ひとりで開けるのは荷が重い。