「成瀬沙智…」



どーしたことか…

成瀬沙智さんのことを知ってるけど、それは小等部の時に1回話したか、話してないかくらい…



「どーしたの?」

「彩子…」

「もしかして、笹本くんとやらがなにかしたの?」



間違っちゃいない。
けど、


「違う…。何もしてない…」



「…ふーん。」






彩子を巻き込みたくないけど…



「…あのさ、成瀬沙智って知ってる?」


「あー成瀬沙智?確か碧杉小だから、あんたの方が詳しいんじゃない?」


「いや…そんなには…」

「あぁ、笹本の幼なじみじゃない?」

「え…。」

「誰だっけ?笹本と仲良かった奴。沼田だっけ?」


「そーなんだ。ありがとう!」





私は、カバンを持ち急いで教室を出た。

急に、成瀬沙智な顔が見たくなった。


今度、沼田って人に聞いてみよう。







でも。




急に足取りが重くなった。


怖い。




笹本くんが私と間違えた

《成瀬沙智》

を見るのが。