「さーさーもーとーくーん」



かなりの小声で保健室のカーテンを覗く。

そこには、頭まで布団をかぶった人が。

しかし、一発で笹本くんとわかった。



「茶髪…」

「あぁ?」


やば、起こした!?


「ごめっ」

「!?さち!!」



え?



『さち』?



勢いよく起き上がる、笹本くん。



でも、私と目が合った、そして落胆の目をした。

あの瞳だ。



「あの!」

「…っち、うぜー。」


また、布団に潜る。

きっと、聞いちゃいけない。



「ごめん…なさい。」

「…。」

「カバン…ここに置いときますね」

「…」

「では。お大事に。」





ありきたりの、怯えるクラスメイト。
そういう立場でしかいられなかった。



「でも!」


でも、収穫はあった。



『さち』




成瀬…




成瀬 沙智さんのこと。