仕事を終え、今日はドレスの上からコートを羽織り、車を降りた。
「今日は災難でしたね、椿さん」
「あはは、本当にね」
私は私服の入った紙袋を手に、苦笑いを浮かべる。
何故か、私のロッカーだけが水びだしになっており、仕方なくもともと着ていたベージュの丈の短いドレスで帰ってきたのだ。
「まぁ、これなら友達の結婚式の帰りかなんかだと思うでしょ」
「そうですね、それでは気を付けて」
そう言ってそのまま、いつもの道を歩き出す。
そういえば、あの人は元気かな………
ふと、あの夜に、出会ったイケメンの事を思い出した。
もう会うことは無いとは思うけど、また、会えたらいいなーなんてね。
ちょうど、公園の出口が見えてきた時、誰かに肩を叩かれた。そして、振り返ると……
「椿ちゃん、会いたかったよ」
そこには、先ほど店で相手していたお客さんがいた。
「関根……さん?」
どうしてここに?なんて聞けなかった。
驚きで、言葉が出ない。


