次の日の夜。
私はまたOLとしての仕事を終え、夜の蝶として働く。
「椿ちゃん、新規のお客様頼める?」
幹部の人に声をかけられ、私は笑顔で軽くOKした。席に案内され、私は新規のお客さまである関根さんの隣に座った。
「椿ちゃん……ずっと話したかった」
「え、ええと、私の事知っててくれたの~??」
というか、どこかで会ったっけ??その疑問をごまかすように遠まわしに聞いてみる。
失礼だけど、身なりも汚いし、金も持ってなさそうだし……。正直、興味無さすぎて記憶にない。
「ずっと、見てたからね。話せて嬉しいよ」
「あ、ありがとう♪」
こ、怖っ!!
見てたとか気持ち悪いから止めてよね!!
「うーん、関根さん、お酒飲みましょう?私、これ飲みたいなぁ」
私はさりげなく金額の高いお酒を勧める。すると、関根さんはすぐに、頼んでくれた。
ラッキー☆
売り上げ貢献ありがとね♪
心の中で悪魔になりながら、私は関根さんにしなだれかかる。
「椿ちゃんを手に入れる為なら、いくらでも払うよ」
「わぁ、嬉しい♪」
あれ、以外にお金あるんだ。
人って見かけによらななぁ…………
なんて、呑気なことを考えてると、関根さんは急に私の背中に触れた。
「えっ、何??」
驚いて身を引くと、関根さんは笑った。
「糸屑がついてたから…」
あぁ、糸屑が…………もう、びっくりさせないでよ。
「ありがとう、関根さん♪」
「いや、いいんだ。それじゃあ、僕はそろそろ…」
関根さんが立ち上がると、私も見送りに立ち上がる。
あんまり、話さなかったけど、楽しくなかった…とか?おかしいな、何しに来たんだろ、この人。
首を傾げながらも、私は関根さんを笑顔で見送った。


