ワタシの愛しの剣士様⭐



「風邪引く前に帰りなよね。それじゃあ」


私は軽く手を振り、走り出す。


今は不思議と、雨に濡れるのも嫌じゃなかった。
何でだろう、人助けしたから??


「あなたは、傘が無いのか!?」


雨の中飛び出す私に、男の人は慌てたように立ち上がる。



あれ、背もすごく高いんだ。
少し離れた距離からでも、背が高い事がわかる。


完璧イケメン、私には手の届かない賜物だよ。


「家近いから!気にしなくていいよー!」


手を振ってそのまま振り返らずにマンションまでダッシュした。だから気づかなかった。



「…………お気遣い、感謝する」


男の人が、ずっと私の背中を見つめていた事に。