「やはり、何かあったのではないか?帰ってから、どこか無理をしているように見える」


顔を上げると、まーくんの心配そうな顔が目の前にあった。



いけない、普段ならこんなに感情を顔に出したりなんてしないのに。笑顔の裏に隠すのは癖のように自然にできたのに………



ここにいると、私から嘘やふりという仮面が壊れてしまう。ありのままの、素直な私が出てきてしまうのだ。


こんな事じゃいけない。とりあえず、この話は終わらせなきゃ…。皆、心配するよね……



「今日もボロ雑巾になるまで働かされたかな?人使い荒いんだから、参っちゃうよ~」


私はまーくんの視線から逃げるように「うーん」と伸びをして前を歩く。


「今日はハンバーグだし、早く作らないとね?ほら、行こうか」


我ながら不自然だったかな……?内心ひやひやしながら、まーくんを振り返る。



「…………あぁ、承知した」



まーくんは曖昧に笑いながら、頷いてくれる。


良かった………。今、追及されたら、うまく誤魔化せる自信ないし……。ただでさえ、未成年を危険に巻き込んでるんだから、私がしっかりしなきゃ…


心の中でそう決意をすると、私は後ろからまーくんに肩を捕まれ、軽く後ろに引かれる。



「るな殿…」


「えっ……!?」


咄嗟の事にバランスを取れずに後ろに倒れ混むと、まーくんの胸板に受け止められた。


な、なにっ!!?何が起きて………


「その内に何を秘めていても……」


「え…………」



後ろから耳元で囁かれる。触れる吐息が、くすぐったくて身を捩る。すると、私が逃げるとおもったのかを、それをさせないように肩を捕まれてしまった。



「るな殿を守るという約束は必ず守る。だから、安心してくれ」


「あっ……」



まーくん、やっぱり私の嘘に気づいて……。私の、隠そうとする感情に気づいて、一番欲しい言葉をくれた。