「るな殿、どこまで乗るんだ?」
「えと、○○駅まで……」
ああっ、お願い……そこで喋らないでぇ~!!
まーくんから視線を反らし、まーくんの制服のネクタイを見つめた。
あ……今時、こんなピッチリネクタイつける高校生いるかな。もう少し緩めてもいいのに…
「俺はその先か……それなら、大丈夫だな」
「え??」
大丈夫って、まさか私が押し潰されるのを心配して?
「るな殿は小さいからな」
そう言って小さく笑うまーくんに、私は驚きに目を見開く。
言葉は足りないけど、まーくんは優しい。こんな満員電車、毎日乗ってたのに、今日は新鮮で特別。
「まーくん、ありがとね」
「これくらい、当たり前だ」
誰かに心配してもらうって、なんか嬉しい。
『次は○○駅』
あぁ、もう着いちゃうんだ………もう少し、こうしてたかったな。


