「千夏、ランドセル空いている。そんな隙を見せていては、立派な剣士にはなれないぞ」
そう言ってまーくんは千夏くんがのランドセルのふたを閉めてあげた。
優しいお兄ちゃんなんだよね。まぁ、全ての基準が剣士になることっていうのは、いささか問題がある気がするけど。
「お兄、千夏、いつ竹刀持っていいの?」
千夏くんはまーくんの持つ竹刀を羨ましそうに見つめた。
「竹刀、いつも持ち歩いてるの??」
ふと気になった疑問をぶつけてみる。
部活でもやってるのかな??あ、でも、道場で剣を教えてるんだっけ?
「あぁ……これは………」
「??」
いつも、意見ははっきりと答えるまーくんが珍しく、竹刀を強く握りしめて私から視線を反らした。
まーくん………?
ふと、あの雨の日、仏花を悲しげに見つめていたまーくんの顔を思い出した。


