「るな殿は、優しい。そんな優しいあなたが、傷ついていいはずないから………な……?」
一番傷ついているはずの人が、他人の為に傷つこうとする。そんなまーくんの方が、ずっとずっと優しい。
私はたまらず背伸びをし、私よりずっと大きいまーくんの頭に手を伸ばして、抱き寄せてた。
「なっ…るな殿!!?」
慌てるまーくんの広い背中を優しくさする。
「まーくんが傷つくのも、私は嫌だな」
「!!」
まーくんは驚いたように肩を震わせた。私は、そのまま背中をさすり続ける。
「もっと、自分の欲を持ってもいいんじゃない?」
これがしたい、あれがしたい。欲しいものだって、求める事は責任を果たさない事じゃない。
「一人で抱えられないモノは、分け合えばいいの。千春ちゃんと千夏くんだって、まーくんの為に何かしたいって思ってるかもしれないよ?」
「千春と千夏が……?」
「うん。私なら、大切な人の苦しんでる姿は、見たくないから」
私の言葉に、まーくんは何かを考え込むように、口を閉ざした。私は、まーくんの頭を優しく撫でる。
あぁ、髪、触り心地いいなぁ。すいてみると、引っ掛からずにスルスルと通る。


