「一体どうしたっていうのよ?ぼーっとして」
「あぁ、すまない。つい、見いっていた…」
まーくんはすまなそうに私に軽く頭を下げる。
本当に律儀だよね、まーくん。たった一日で、なんだかまーくんの性格が少し分かった気がした。
「見いるって、何に??あぁ、ご飯の見映えなら勘弁してね?味に自信はあるけど、見た目に自信は無いっていうか…」
「そうではない。るな殿の料理する姿が、あまりに……」
私の料理する姿に………?
首を傾げると、まーくんの頬が赤く染まった。ふいっと目線を反らし、まーくんが小さく呟いた。
「…綺麗…だったからだ」
「えっ??」
今、綺麗って言った!!?言ったよね??でなきゃ、私の耳は超プラス思考でおいしく出来ているらしい。
「に、二度目は…言わせないでくれないか」
それで確信する。夢じゃなかったのね。良かった、妄想とかじゃなくて(笑)
恥ずかしそうに後頭部をガシガシと掻く姿は、年相応の高校生だった。
いやぁ、こんな私を綺麗なんて、世の中には若くて可愛い子がいっぱいいるのになんていい子なの!?
なんて感動していると、まーくんが私の方を向いて、また頭を下げた。
「まーくん??」
急に頭を下げたまーくんに、私は首を傾げる。
「何から何まで、すまない。本当に感謝してもしきれない」
「ええっ!?そんな、大したことじゃないんだし!」
両手を上げて笑うと、まーくんは、首を横に振り、少し寂しそうに居間へと続く廊下を見つめる。


