ワタシの愛しの剣士様⭐





「和食に、決定だね」


冷蔵庫の中身を見て、私は鮭と煮物に使う野菜を取り出す。野菜を切りながら、私は先程の会話を思い出していた。


『両親はすでに他界している』


まーくんは、ずっと一人で千春ちゃんと千夏くんの面倒をみながら生活してきたのかな。


「まだ高校生なのに………」


あんだけ、しっかりしている理由が分かる気がする。それなのに、私の事まで……



だからか、さっきは「全力で朝食作るから、待ってて!」とつい、気合いが入ってしまった。



まーくんは驚いたように、私を見つめて、小さな声で「恩にきる」と朝食作りを承諾してくれたけど……



「何かしてあげたいって、思っちゃった……」


深入りなんて、しないほうがいい。
後で手放すのが苦しくなるんだから……


同情だって、されて良いものじゃないだろうし。


「これは、恩返しって事よ!」


そう、守ってもらう恩返し。取引って事。
別に、情が沸いたとか、そんなんじゃない。


そう自分に言い聞かせて、黙々と野菜を切っていると、どこからか視線を感じた。



「ん??」



不思議に思い顔を上げると、まるで「ジィッ」っという効果音が付きそうな程見つめてくる千春ちゃんと千夏君がいた。台所にいる私を穴が開くほど見つめている。


目が合うと、二人はヒョイッと隠れた。


「あはは、服が見えてる………」


千春ちゃんのスカートの裾が見えているせいで、隠れているのもバレバレだった。