「うん、昨日は色々あって疲れてたのか、ぐっすりだった!」
本当はちょっぴり不安で、眠りが浅かったから……って言うのは、内緒。心配させちゃうしね。
「そうか、それなら安心した。朝食はまだだろう、もう少しで朝稽古が終わるから、待っていてくれ」
至れり尽くせりな待遇に、私は苦笑いを浮かべ、まーくんに1つお願いをしてみる事にした。
「朝食は私に作らせて?もし、迷惑でなければだけど…」
じっとされるがままは居心地が悪い。
動いていたい気分なんだよね、落ち着かないし。
「あ、でも、ご両親がお邪魔だって言うなら……」
台所は母の城とも言うし、勝手に使ったら……
「両親は、すでに他界している。それは気にしなくていいが…るな殿は迷惑じゃないか?」
そんな私の不安は、驚きの事実にすぐさま消えた。
え、他界してるって…………ご両親とも!!?
嘘、じゃあ今まで3人だけで生活してきたの??
「ごめん!わ、私、無神経だった………」
私の馬鹿、余計な事言わなきゃ良かったのに。
まーくん、嫌な気持ちにさせたよね……
「そんな、事は無い。るな殿は清い心を持っている。そうやって今も気にしている事がなによりの証拠だ」
年下とは思えないほど紳士な台詞に、私は驚いてしまう。
この子、本当に高校生??
人間できてるというか…………なんて優しい子なんだろう。
その優しさに、私は救われたのだった。


