「次は絶対に椿ちゃんを手に入れるからな!!お、覚えてろー!!」
「逃がさん。おい、待て………っ!?」
よくある悪党の逃げ台詞に苦笑いを浮かべながらも、それを追おうとした高校生の手を掴んで引き留めた。
「どうしてだ、このまま逃がせば、あなたはまた狙われる」
驚いたような顔をする高校生に、私は笑った。こんな顔を見ると、やっぱり幼いんだなぁ……
「これ以上はいくら何でも危険だよ?君は高校生なんだし、問題なんて起こしたら大変だから」
ほら、大学受験とか、就職とかに、響いたら大変だし。
それに、危険に巻き込みたくないし……
深い理由なんてない。
ただ、責任とれないから、そう思うだけで…
自分でもよく分からないけど、これ以上は頼れない。
「高校生というのは関係無い。俺は、あなたを助けたくてしたんだからな」
「私を、助けたい??え、何で?」
私、何かしたっけ。
真剣な瞳で私を見下ろす高校生に、私は首を傾げた。


