バタバタバタ



「社長、お逃げ下さいっ!」




真っ青な顔をして入ってきた社員。





「どうした。」






「……っっと、東城組です!」


東城組----------?

なにそれ。



「クソッ」




「ついに来たのね。」


ママもすごく焦っているみたいだった。





「ああ。よりによって、美帆がいるときに……っ!」




パパは悔しそうに下唇を噛んだ。




「東城組ってなぁに?」




「ああ、悪い人達だよ。正々堂々と戦わない。暴力で解決する人達だ。」





そんな人、


「私がやっつけてやる!」






「危険だ…。逃げるぞっ!」




三人で、手を繋いで走った。





「社長しかしらない出口だ。万が一のために作った。」




パパは、鍵穴に鍵をさしこむ。



カチャカチャ、カチャカチャ

何をやっても開かないドア。




「チッ 行動が読まれてたみたいだ。開かない。」





「…っ!美帆…」




私を優しく包み込むまま。

体が、微かに震えていた。




「ままとぱぱは、私が守る!」



アニメで見たよ、悪者は退治しなくちゃね!



「美帆、ぱぱは美帆が大好きだぞ。」



いきなりそんなことを言ってきたパパ。


「私もだよ?だーいすき!」




「美帆……強く生きてね?」



そんな、まるで最後のお別れみたいな言葉…!




「なんで…そんなこというの?」





ドンっ







「ふっお揃いだなぁ?」





「クッ…東城…!」


ゆっくり歩み寄ってくる男の人。



「お、娘さんだぁ、可愛いねぇ。」



男は私をみて、舌なめずりをした。

鳥肌が立った。



「娘は関係ないだろ。」




ぱぱは、私を背中に隠して睨んだ。




「そっちは秘書の…奥さん…だね」




銃をとりだす。




カチャッ




それをママの方に向ける。




「バンッ」












「まま……?やだな、なんで寝てるの?あはは、ねぇ、遊ぼうよ…」


ままは顔を歪めて苦しがった。


「はっっ!くっ…!」



大量に赤い液体がどんどん流れ出す。






いくら幼い私でも、ままが危ないことを理解した----------





「まま……うっ、ふぇっ」




とめどなく流れる涙。





「美帆、危ないっ!」



ぱぱが叫んだ。





え────────????


「バンッ」



私はギュッと目を瞑った。






私も撃たれたんだ…










そう、思った。





だけど、痛みはいっこうにこない。




私がゆっくり目を開くと…






「ぱ、ぱ?ふぇっ、ぱぱぁー!」





男は、もう死んでいるぱぱに、銃弾をたくさん撃ち込む。







「っ!も、う、やめて!…私を撃って!」




私は小さな体を広げて見せた。





私はぱぱがこれ以上悲惨な姿になるのを見ていられなかった。










私に向けられた銃。







ぱぱ、まま、楽になって----------!





「バンッ」







今度こそ撃たれた…




はずなのに。




また、痛みがない。









「まま……もう、いいよ。私も…一緒に……」




ままは私に覆い被さっていた。



「だめよ。美帆は生きなさい。」





ままは、いつもの優しい笑顔を私に見せた。





ねぇ、どうして?なんでそんなこと言うの?




ままとぱぱがいない人生なんて…






「フッ、ふぇっ、ぐすっまま…ぱぱ…私を置いていかないでぇ!」



男は不敵に笑った。





「…フッ。気が変わった。
いいか、お前は人殺しだ。」



そう言って






去っていった。








「なんで…っ!
ぱぱ、まま、大好きだよ?だから…だから、起きてっ!目を覚ましてぇっ!」