HRが終わった。

…帰ろ。




「ねぇ、あんた、ちょっと来なさいよ。」



…はぁ。

またか。



「はい。」



私は黙ってついていく。


連れてこられたのは体育館裏。




「ねぇ、あんた調子のってんの?」




「……」



思い当たる節がない。



「とぼけた顔してんじゃないわよ!芝生にいた、男たちは誰なのよ!」




私は誰とも喋っちゃいけないのだろうか。



ああ、ダメだった。

誰とも関わってはいけなかった。








「すいません。もう喋りません」




「話が分かる人でよかった。そーいえばさー、あんた、親いないんだって?」



なんで今のタイミングでいうのかな。



「……」




「しかも、自らの手で殺したんだって?」




人殺しが怖くないのか。




「どーせ、ろくでもない親だったんでしょ。」





適当なこと言わないでよ……。




そんなわけないでしょ!



すごく、すごく、いい親だった。



私を大切に育ててくれていた。




だからこそ、自分が憎いんだ。


大好きな両親を……。





「ウッ、 エッックッ」



唇を噛み締めて必死にこらえる。




泣いてはいけない。


そうでしょ?




自分の手でそれを壊したんだから。



泣く資格、ないでしょ。




止まれ、涙。




「何泣いてんの?今更、罪悪感がでてきた?」



そんなんじゃない。



罪悪感ならあの時から、ずっと背負ってる。




何をしても止まらない涙。


みっともない。








「もう、うざいっ!泣いてんじゃないわよ!」



女は去っていった。




「うっふぇっ」



こんなに、涙脆かったっけ?



今更何泣いてんの。



泣いても変わらないでしょ。


もうこの世にいないんだから。


そう、あの人も……。





自分に言い聞かせても涙は止まらない。




「ハッはぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」




ついに過呼吸になってしまった。



息がしずらい。




私は、涙を拭って、芝生へ走る。




関わってはいけない人達がいることを全部忘れて…



走る。



走る。





「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」




なんであなたたちは私の望む時、そこにいるの......................................................