猫の恩返し

30代に入ると、こうも体の年齢を感じるものなのか…

20代の頃は、ビールぐらいで潰れるなんてあり得なかった

日本酒に焼酎、ワインにカクテル…何でもあり

食い物も食わず、ひたすら酒を煽ってバカ騒ぎ

特に、現場に出る警官達の飲み会に誘われて出掛けようものなら、競争は当たり前、女性警官にお酌させるのも当たり前、本気か冗談か…下手すりゃ捕まるようなことまで強要してる奴らも居た

自分自身から、終電間際で酔い潰れて乗り込んでくるおっさんと同じ酒の臭いが染み出していることが分かって、ショックを受けたこともある

それでも、男職場に居るからか、女と付き合うよりも酒との付き合いの方が多かったのに───

空の缶を両手に持ち、廊下に出た

体の芯まで冷えた体に、廊下のムワッとした暑さが心地いい


「これでいいか?」


シンクに缶を置き、すぐ後ろをついて来たナツに、棚の上に置いてあったドライフードを見せた


「えーっ…。いつものがいい」


プクッと膨れ、唇を尖らせる


そういえば、こんな子供っぽい女とは付き合ったことなかったな…


なんて、過去の女達が頭の中をよぎった