猫の恩返し

………何かスッキリしねーな…


食器を水切りカゴに入れ、顔だけ部屋の方へ向けた

開け放した部屋からはクーラーの冷気が流れ出てきて、ほんの少しだけ廊下の空気を冷やしていく

それでも、コンクリートに覆われた都会の夜はいつまで経っても冷めることはない


酒でも…飲むか…


部屋に戻り、ナツが寝ていることを確認して電気を消す

財布をジャージのポケットに突っ込みマンションを出ると、眼下には眩しいほどの明かりが夜の街を照らし出していた

鬱陶しいほどのこの喧騒の中で、奪われていく小さな命に関心を寄せる人間は、一体はどれほど居るのだろう

ナツの命がいつまで続くのか分からない

でも───

せめて、命続く限りは最後まで見守ろう…

そう心に決めた