「あっ！小岩井くんが彼女泣ーかしたー。あーあ、サイテー！」


コンビニの袋片手に戻ってきた係長が、嬉しそうに俺を非難する


「べっ、別に泣かせてなんか───」


係長からナツに視線を移すと、両頬を涙で濡らしたナツがスカートを握り締め、必死で声を押し殺していた


「あらぁー。ナツちゃん、大丈夫？ひっどい彼氏だねぇー」


係長がナツに近付きハンドタオルで涙を拭こうとすると、パチンという音をさせ、手を払いのけられている


「冷たっ！俺、心配してんのよ？」


意味が分からない、といった感じで眉を八の字に下げ、両方の口角を上げた

ジェスチャーが、アメリカの安っぽいコメディみたいだ


「あっ！主任がナツちゃんイジめてる！」


同じように、下村が俺を指さして非難の声を上げる


「イジめてねーし！ってか、お前ら外に食いに行ったんじゃなかったのか？」


「私達だって、たまには署内で食べますよ」


「自席で食べちゃいけないんですか？」


何だよ…

何でそんな目で俺を見るんだよ…