猫の恩返し

「大丈夫か?」


「何が?」


「………いや、何でもない」


俺はナツに何を聞こうとしてた?


『猫だとバレなかったか』


『粗相(そそう)はしなかったか』


牧野の観察力は、目を見張るものがある

そんなアイツの手に掛かったら、ナツの正体なんかバレるのも時間の問題なのかもしれない


それにしても───


さっきから、向こうから歩いてくるヤツらの視線が痛い

…と言っても、見られてるのは俺じゃなくてナツなんだけど


すれ違いざまに、わざわざ振り返ってまで見るヤツらも居る


「変なヤツについて行くなよ」


「ん?大丈夫。私、トーゴ以外の人間とは歩かない」


はぁ?

何だ、そのセリフは!?


自分の顔が熱くなるのが分かった


………

いや…何考えてんだ、俺…

おかしいだろ!

ナツは、人間の姿をした猫なんだぞッ!


そう自分に言い聞かせる