猫の恩返し

「トーゴ、怖いッ!」


急に立ち上がったかと思うと、ガシッと俺にしがみ付いた

それを見ていた皆が、面白いものを見つけたように好奇の眼差しを俺達に向ける


「仲いいですねー」


「小岩井主任、さっき『彼女じゃない』って言ってませんでしたっけ?」


「羨ましいけど…署内でイチャつくなんて、倫理がなってないね」


牧野と下村だけでなく、4つ上の竹田(たけだ)係長まで口に手を当てて半笑いで嫌味を言う


「仕事さえちゃんとしてくれれば、彼女が居てくれても全然構わないけど」


「課長………」


課長の爆弾発言に、開いた口が塞がらない

こんな適当な課長で、本当にいいんだろうか

内部関係者以外を課内に置いといていいわけないだろ…と思いつつ、ここに置いといてくれと頼んだのは自分だったと思い出し、何も言えなくなった

しばらくして、昼になったことを告げるチャイムが鳴る


「主任!」


「な…何だよ」


俺の席にやって来た下村の勢いに押され、つい上半身がのけ反ってしまった