猫の恩返し

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昼から服を買いに行くことにした


「あ…そうか。履くものがないのか…」


夏だから何とかなるかと思い、サンダルを履かせる

シャツだけというわけにもいかず、紐を目一杯絞ったジャージとの組み合わせ

子供が大人の格好をしているような…そんなおかしな状態


………途中で、警官に職質とか掛けられたらどうしようか


不安でいっぱいになる気持ちを鎮めようと、軽く頭を振った


「外ぉー!」


不安で挙動不審に陥りそうな俺に対し、ナツは心底嬉しそうに部屋を出る


「車、乗るぞ」


マンションを出てすぐ目の前にある駐車場

そこに停めてある軽自動車の前でロックを解除し車に乗り込むと、キョロキョロと内部を観察するナツ


「珍しいか?」


「いつも外から中は見てた。でも、中に入るの初めて」


「ま、いつでも乗せてやるよ」


「ホント?嬉しい!」


俺の方を向き、満面の笑みを浮かべる

こう見ると、どこからどう見ても普通の人間にしか見えないから不思議だ

そして、動き始めてすぐに問題が起きた